中小企業診断士とは? 魅力や試験概要を探る

 「中小企業診断士」は、中小企業の経営課題を分析し、改善策を提案する専門家を認定する「中小企業支援法」第11条に基づいて定められた、経営コンサルタント領域で唯一の国家資格です

 なりたちをなぞると本来的には行政や公的機関の立ち位置から「企業診断」を行うための資格ですが、現在では独立してコンサルタント業を行う人も少なくありません。

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 などといろいろなことが言われており、それで興味を持たれているのではないでしょうか?

 また、「経営に関するスキルを様々に身につけられる」という点では唯一国家資格で対応する者ですから、大手企業などの人事評価でも良好な評価を受けることも多いとされ、経営企画部門などで活躍する人も多いとされています。

 私は、東証プライム上場の会計ソフト会社からキャリアをスタートしましたが、当時2,000人程度の従業員の中で中小企業診断士ホルダーは3~4名程度だったと記憶していますが、それぞれ「どこにいるか」がはっきりとわかるくらいに活躍されていたことを記憶しています。

 そういった面もこの資格に興味を持ったきっかけではありました。

 さて、本記事では、まず中小企業診断士の「試験概要」や「資格取得方法」を中心に解説していきたいと思います。


中小企業診断士の役割と重要性

 中小企業診断士は、企業が抱える経営課題を多角的に整理し、具体的な改善策を提案する役割を担います。市場環境の分析や資金繰り、組織・人事改革、ITやマーケティングの導入支援など、多岐にわたる領域に通じる基礎力を身につけた人材になれる資格です。

 中小企業や小規模事業者は大手企業と比べ、経営資源が限られています。一方、人口減少をはじめとした事業環境の変化は今後ますます深刻化すると考えられ、外部の専門家が関与させることで経営を見直していく取り組みが今後多くの中小企業に求められます。こうしたニーズに応えられる人材の一つとして中小企業診断士は国からの期待も大きく、今後さらに多様な場面での活躍が期待されます。

 しかしそんなことを言われても、試験だけで「そんなことができるの?」というふうに思うのは自然なことと思います。

 実際問題、中小企業支援の現場にあたってきた人間として感じるのは、試験の内容が直接役立つ、ということはあまりありません。試験で得た知識の6〜7割は今後一回も使うことがないかもしれません・・・。

 しかし、資格取得前後で「変わった!」と感じるのは、自分のアンテナに引っかかる範囲が広がったな、ということ、そして滅多に出会わない業種に対応するときもアタリをつけやすくなったな、という点です。

 おそらく仕事だけをしていたとして、ここまで幅広い分野に首をつっこめるようになっていたか、興味を持てていたかというと、私の場合は「NO!」だと思います。

 また、「貢献できた」「助けることができた」という自己効力感のようなものを得られるのも良い仕事だな、と思う点です。

 上記のように、中小企業や小規模事業者はそもそも人も少ない、金も少ない状況です。優秀な人であっても、自分の目の前の仕事に手一杯でたくさんのことを見落としています。

 それは税務や労務の手続きのような、会社を続けていくことで必要不可欠なことであったり、資金繰りであったり、組織作りであったり、将来のビジョンであったり・・・本当に色々ありますが、支援者という立場に立つことで、その人が普段の業務に埋没して気付けない気づきを促すことができる、という仕事は本当に面白みがある仕事です。優秀な人、頑張っている人、その地域になくてはならない仕事をしている人が足を掬われないようにお手伝いできる立場を手に入れられる、というのは代え難い価値があると思います(もちろん、そういう人たちに応えられるように、見限られないように相応の力を身につけていく必要がありますが)。

 さて、そんな立場に近づくうえで有用な資格としての「中小企業診断士」について、試験内容を少し見ていきましょう。


中小企業診断士試験の概要

 中小企業診断士の試験は、一次試験と二次試験の2段階構成となっています。受験資格に制限がないため、どなたでも挑戦できますが、出題範囲が広いこともあり合格は容易ではありません。とはいえ、学習を通じて身につけた知識やスキルは、合格前であっても業務中などに活かせる場面が色々と見つかるはずです。また、受験資格の制限がないことから高卒や大学中退といった方でも取り組みへのハードルが低いのは大きなメリットと言えるでしょう。

一次試験(マークシート方式)

  • 試験時期:8月上旬の2日間
  • 試験科目(全7科目)
    1. 経済学・経済政策
    2. 財務・会計
    3. 企業経営理論
    4. 運営管理(オペレーション・マネジメント)
    5. 経営法務
    6. 経営情報システム
    7. 中小企業経営・中小企業政策
  • 合格基準:総得点の60%以上、かつ全科目で満点の40%以上

マークシート形式の多肢選択問題で、科目ごとに60分または90分の試験時間が設定されています。合格ラインが高いうえに出題分野も多岐にわたるため、しっかりとした学習計画が欠かせません。

二次試験(筆記:記述式+口述)

  • 筆記試験時期:10月下旬
  • 筆記試験科目(4事例)
    1. 組織(人事を含む)の事例
    2. マーケティング・流通の事例
    3. 生産・技術の事例
    4. 財務・会計の事例
  • 口述試験時期:1月
  • 合格基準:筆記総得点の60%以上・各科目40%以上、かつ口述試験に合格

実際の企業事例を踏まえた出題が多く、論理的思考力や文章作成力、コミュニケーション能力が問われます。筆記試験の合格後には、短時間の口述試験で理解度や応用力が評価されます(といえど、実態としては合格率99%とも言いますが)。

何にせよ、一次試験とは異なる対策や訓練が必要となるため、幅広い準備が求められます。


養成課程による資格取得ルート

試験ルート以外にも、中小企業診断士養成課程を利用して資格を取得する方法があります。特定の大学院や民間の指定機関などで理論と実務の教育を受けることで、中小企業診断士に必要な実践力を養う仕組みです。高額な費用がかかりますが、半年〜2年程度同じ仲間でさまざまな課題に取り組むことから、実践力を身につけやすく、また中小企業診断士仲間ができるのは大きなメリットであるといえるでしょう。

  • 養成課程を修了した場合
    • 二次試験と診断実習が免除
    • 修了後、中小企業診断士として登録手続きを行えば資格取得が可能

このルートでは、座学だけでなく実務に直結したカリキュラムが組まれており、理論と実践を集中的に学べます。社会人が仕事と両立しながら養成課程を受講できるケースもあるため、学び方の選択肢が広がっている点が特徴です。


中小企業診断士になるには? 合格後の流れ

「中小企業診断士になるには」、大きく2つのルートがあります。

  1. 試験ルート
    1次試験合格 → 2次試験合格 → 実務補習または実務従事(15日以上) → 資格登録
  2. 養成課程ルート
    養成課程修了(理論・実務教育) → 一定の要件を満たした上で資格登録
    ※養成課程修了者は、二次試験と診断実習が免除

試験ルートでは、二次試験合格後に中小企業診断協会が実施する「実務補習」に参加するか、実際の経営診断業務を15日以上経験することで、必要な実践力を身につけます。その後の登録手続きが完了すれば、正式に「中小企業診断士」として活動可能になります。


受験資格・申し込み方法

中小企業診断士は学歴や年齢制限がなく、誰でも挑戦できる資格です。出題範囲が広い分、難易度は高めですが、経営に関する幅広い知識を得られるメリットがあります。

  • 申し込み期間:例年4月下旬~5月下旬ごろ
  • 受験料:一次試験 14,500円(年度によって変更の可能性あり)

年度ごとの試験日程や詳細な手続きは、中小企業診断協会や試験実施機関の公式サイトを確認しましょう。


中小企業診断士資格のメリット

  1. キャリアの選択肢が広がる
    国家資格としての信頼度が高く、企業内での昇進や転職に有利。中小企業診断士を保有していることが条件で有利になる仕事もあるほか、独立して開業する道も開けます。
  2. 企業支援を通じた社会貢献
    経営に課題を抱える企業を支援できるため、地域経済の活性化に貢献するやりがいがあります。
  3. 幅広いビジネススキルを習得できる
    経済・会計・法務・ITなど、多方面の知識を体系的に学ぶことで、経営全般を見渡す力が身につきます。

まとめ

 中小企業診断士は、「中小企業支援法」第11条に基づく経営コンサルタント分野で唯一の国家資格です。一次試験と二次試験を通じて、経営・経済・会計・法務など多岐にわたる知識が求められるため取得難易度は高いものの、それだけ大きなメリットが得られます。資格取得後は、企業内外を問わず多彩なキャリアパスが開け、社会的な信頼度の高さも魅力です。

 また、養成課程を利用すれば、二次試験と診断実習が免除となるルートも用意されています。自分のライフスタイルや目標に合わせて、試験ルートと養成課程ルートのいずれかを選びましょう。どちらの方法を選んでも、取得後は多くの企業や組織を支援できるやりがいあるフィールドが広がっています。興味をお持ちの方は、ぜひ挑戦し、経営のスペシャリストとして活躍してみてください。

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