中小企業診断士の資格は、単なる国家資格にとどまらず、“経営支援のプロフェッショナル”として多彩なキャリアを築ける点が大きな魅力です。日本における企業の99.7%は中小企業といわれ、経営課題は業種・地域・規模によって実に多様です。そのため、中小企業診断士が活躍できる場は幅広く、資格を取得することで得られる可能性も無限に広がっていきます。前回の記事でも、私なりの中小企業診断士の面白みについても触れたところですが、本記事では中小企業診断士としての働き方から、商工団体や公的支援の枠組みを活用したキャリア構築のヒントまで、その魅力を具体的に解説します。
多様な企業と深く関わる“企業支援のスペシャリスト”
中小企業診断士の最大の魅力は、さまざまな企業と深く関わりながら、経営課題を解決へ導けることです。中小企業は規模が小さい分、経営者の意思決定が企業の方向性を左右しやすいという特徴があります。そこで中小企業診断士は企業の現状を分析し、経営課題を抽出して、具体的な改善策を提案。経営者と伴走しながら事業計画の策定や実行支援を行うため、「経営支援のプロ」として実感をもって企業の成長に寄与できるという側面があります。
一方、経営に関する幅広い知識を持つことで、必ずしも「診断」や「コンサル」という立ち位置ではなく、相談を受けながら経営者の内発的な気づきを促し、より良い行動に繋げていく、伴走者のような立ち位置を近年は求められつつあります。

いずれにしても、多様な知識を基盤にして、企業に関わっていける、というのが魅力点の一つでしょう。
幅広い活躍のフィールド
1. 独立コンサルタントとして
中小企業診断士の資格を武器に独立開業を選択するケースは多く、特に近年ではフリーランスのコンサルタントが活躍しています。顧客企業のコンサルティングだけでなく、セミナー講師や執筆活動など、“自分の得意分野”を生かして多様な働き方が可能な資格と言えるでしょう。
2. 商工団体や公的支援機関での活躍
中小企業診断士を取得すると、商工会や商工会議所などの商工団体に勤務したり、専門家として登録するという道も開かれます。こうした公的機関の職員として、地域の中小企業を支援する仕事は、地域経済に深く貢献できるやりがいのあるキャリアです。地元志向の強い方などは、こういった支援機関に入所してから中小企業診断士を目指すというのも有力なキャリアです。資格取得後も支援機関に残って定年まで働いている方も多くいらっしゃり、安定志向の方にとっても有力なキャリアの築き方ができるかと思います。
※例えば商工会は全国組織の全国商工会連合会が各県の採用情報をとりまとめていたりとしますので地域志向の方は選択肢に入れても良いかと思います。
また、「よろず支援拠点」をはじめとした公的支援の枠組みで活動できるのも魅力です。独立した立場でも、行政の起業支援制度や補助金活用のアドバイスへの関与という形で、多様な企業支援に関わるきっかけを掴むことができます。中小企業診断士という資格があるだけで“相談の窓口側”に立つチャンスが得られるのはキャリア形成上大きなメリットといえるでしょう。(もちろん、申し込んだ上で審査や面接はあるわけですが・・・)
3. 企業内での経営企画・コンサルタント業務
企業の経営企画部門や会計事務所などに所属する選択肢も人気です。資格取得によって得られる知見を、企業内部から経営課題の解決に生かすことで、社内コンサルタントとして頼りにされる存在になれます。
地方で働きたい人にとっての大きなチャンス
都市部だけでなく、地方の中小企業にとっても中小企業診断士の存在は貴重です。地域の人口減少や産業構造の変化に悩む地方企業が増える中で、中小企業診断士の活躍のフィールドは広がってきています。地域振興や地場産業の活性化に深く貢献できる仕事はやりがいが大きく、地方でのキャリアを目指す人にとっては大きなチャンスといえるでしょう。
地方部での中小企業診断士の数は少ないです。居たとしてもけっこうな数が地方銀行や支援機関に所属していたり、独立していてもそもそもその人自身が別の事業の事業主、ということも多く、完全に「中小企業診断士」単独で働いている人は意外と少ないものです。さらに高齢化も進んでいますから、なかなかフットワーク軽く活躍してくれる人が見つかりにくいものです。
(そんな状況ですから、地方の公的支援機関に居るものとしては、完全にフリーでITネタなど、最新の話題も勉強してピックアップできるような人を公的支援機関の単価で探すのって結構大変なんですよね。。。いっそ自分で講師してしまえ!と何度思ったことか・・・)
何はともあれ地元で活躍したい!という人や、、地方に移住したいという人にとってはキャリアを開くきっかけになる、かもしれません。都会で働いている地方出身者の方でもいずれ地元に戻る可能性があるかたなどはチャレンジしておくと、役に立つかもしれませんよ?
経営課題に挑む“実践的な面白さ”
中小企業診断士としての仕事の面白さは、企業が抱える経営課題を解決していく“実践”の場にあります。クライアント企業の現状を深くヒアリングし、問題点を可視化。経営資源の洗い出しや外部環境の分析を行いながら、事業機会の探索や具体的な改善提案をまとめます。経営者と二人三脚で成長戦略を打ち立てる過程は、苦労もありますが、その分達成感はひとしおといえましょう。
さらに、多様な業種・業界の経営に触れる機会が多いのも大きな魅力です。製造業から小売業、サービス業、IT企業、さらには一次産業や地域特産品ビジネスなど、幅広いフィールドの経営者と接することで、自然と情報アンテナが広がっていきます。自分が今までは興味・関心を持っていなかったような分野にも触れる機会が出てくることから、常に新しい学びと発見に満ちあふれています。
キャリアの柔軟性と広がる可能性
中小企業診断士の資格は、キャリアの”入口”や人によっては”要”としても大いに機能します。勤め続けるもよし、転職するもよし、独立してコンサルタント業を行うもよければ、知識を活かして事業をしたり家業を継いだり・・・本当にいろんな方がいらっしゃります。
このように、資格取得によって選択肢が増え、ライフステージや目指すキャリアビジョンに合わせて働き方を柔軟に変えられるのは、中小企業診断士ならではの特色といえるでしょう。
まとめ:企業支援を通じて社会に貢献する充実感
中小企業診断士の魅力は、“企業支援の専門家”としての立ち位置を確立できる点に尽きます。経営者の悩みに真正面から向き合い、ともに課題解決と成長戦略を描いていくプロセスは、ビジネスの醍醐味が詰まった非常にエキサイティングな領域です。さらに、公的支援制度や商工団体をうまく活用することで、地方創生や地域経済の活性化にも深く関わることが可能となり、社会的意義を感じられる仕事でもあります。
多様な企業と関わりながら自身の情報アンテナも広げられ、キャリアの柔軟性も高い中小企業診断士。もし「企業経営を支援するプロフェッショナルとして成長したい」「地方や地域経済にも貢献できるやりがいを求めている」と考えるなら、中小企業診断士の資格取得はまさに有力な選択肢です。資格という肩書きを超えて、企業支援を通じて社会に変革をもたらしたい方にとって、この資格がもたらす可能性は無限大と言えるでしょう。