中小企業診断士試験の難しさについて

 中小企業診断士の資格を目指している方にとって、大変なことは色々とあるでしょう。その中でもとりわけ、試験範囲の広さ、勉強量の多さに悩まされる場面も多いのではないでしょうか?近年、合格率が高くなってきているとはいえ、勉強時間や内容のボリュームに圧倒されてしまうことも少なくありません。この記事では、その難しさのポイントを整理していきたいと思います。

中小企業診断士の難しさとは

中小企業診断士試験の難しさには色々あるのですが、基本的には「試験範囲の広さ」「試験範囲の深さ」そして「試験のタイミング」の3つについて考えるべきでしょう。

1.試験範囲の広さ

 一次試験の7科目、二次試験の4科目と試験科目の多さは学習において結構な負担感となります。

 よく診断士試験について(特に一次試験について)「2級レベルの試験の寄せ集め」と言われることがあります。実際に、中小企業診断士試験の学習に際して、各2級レベルの試験との並行受験をお勧めする見解も多くあります。

<参考>中小企業診断士と同時並行で目指せる関連資格を教えてください。

同時並行で目指せる資格 - スタディング 中小企業診断士講座
中小企業診断士と同時並行で目指せる関連資格を教えてください。

 「2級レベルの知識を寄せ集めてもなんの役にも立たない」ですとか「そんなの程度の知識で専門家面しても」とかいうコメントも見たことがありますが、よく考えてみてください。

 これだけ、7科目の範囲で2級レベル資格に全て合格する。これって結構大変だと思いませんか?

 一個一個の資格は数十〜100、200時間くらいで取れるものかもしれません。しかし中小企業診断士試験ではそれが7科目もある。

 しかも、自分の専門でない分野が必ずあります。全く業務の想像もつかないもの、興味がないものについても2級レベルの知識を求められるわけです。

 私にとってそれは「運営管理」でした。小売り店舗の現場に立ったこともなければ、工場と言えば営業でたまに企業に伺うときにちらりと横目でみれる程度のもの。この状況で生産現場や販売の現場をイメージすることはなかなか難しく、2年目の学習では特に悩まされたものでした。

 こう考えると一次試験だけでもかなり大変ですよね。そう、大変なんです。

 もちろん試験戦略でどうにかできる部分もあるわけですが、中小企業診断士試験、そりゃ大変で当たり前だよなあ、と思っておいて良いものだと思います。

 ちなみに・・・私も2級レベルの知識の寄せ集め、というところで受験生時代中小企業診断士を侮っていましたし、なんでこのくらいできないんだ自分、とも思っていました。

 しかし、まあこう冷静に振り返ってみると本当に大変です。何の試験でもそうですが、挑戦しているだけでも偉いんです。自分を褒めてください。

 診断士を得た今であっても、今年一年でこれらの2級レベルの資格を全部取ってこい!と言われても嫌ですもんね。診断士試験というのは割とハードなことをやっていると思って良いと思います。

2. 試験範囲の深さ

 深さ、という点で、2級レベルの資格というものは初級者レベルではなく、通り一辺倒該当分野に対する知識を持っている、ということを求められます。その分野を専門とする人と専門用語でコミュニケーションをとれる、ということを求められる水準と思っておけばよいでしょう。

 こうみるとなかなか難しそうですが、「専門家と話せるレベル」が必要なだけで、「専門家」となるレベルまでは求められない印象です。なのであまり構えすぎてもいけませんし、専門家級になろうとして余計な教材に色々と手をつけていくのはあまりおすすめできません。

 一次試験の深さに対応するうえでは、基本的には問題演習を反復して、言葉をしっかりと覚えていくことが中心になると思って良いでしょう。

 一方で、試験範囲の深さについて課題となる点のもう一つは二次試験です。二次試験は記述試験であるということ、そして採点基準等が公開されていないことから、本当に深みのある試験となっています。

 一次試験を突破したあなたなら、知識をしっかりと蓄えたあなたなら、たくさん書きたいことがあるはずです。

 それでも二次試験の答案用紙に初めて向かい合った時、何もかけない自分と向き合う場面が出てくることになります。

 その要諦は、「文字数制限」です。

 概ね100字〜150字程度の問題を5問程度というのが標準的な二次試験のスタイルです。

 文字数が少ないと言うのは一見、楽そうに見えます。私もそう思っていました。

 しかしながら、そううまくはいかないもの。

 何を、どんな順番で、どんな優先度をつけて書けば良いか、これがわからないのです。

 二次試験の学習はひたすらこれに対する感性をどう磨いていくか、これが一つ勉強にあたっての勝負ですね!

 そしてこの課題は実際の企業支援の場面でも同じ問題に突き当たるものです。

 まあ、現実にはコミュニケーションという壁があるのでなかなか素直に理屈通りいくものではありませんが、ポイントを端的に出力して、端的にアウトプットする訓練というのはなかなかその後の支援者としての活動にも役立っているなあと思います。

3.試験のタイミング

 試験のタイミングは年1回です。概ね8月に一次試験、10月に二次試験があります。

 年1回勝負です。これが辛い。メンタルにくるものがあります。凡ミスをやらかしていると「また来年か・・・」なんて考えてしまい、なかなか辛いものです。また、自己採点で一次試験を突破していても、「マークミスしてないかな・・・」「二次の勉強を始めてしまって大丈夫かな・・・」となってしまうものです。

 あと、タイミングとは違う話ですが、試験実施は全国10箇所(一次試験)となります。地方民にとっては体力・金銭共にきつい点でもありますね。

<参考>中小企業診断協会 令和6年度の試験日程について

令和6年度の試験日程について

 この試験のタイミングに対してどのように仕事や生活との折り合いをつけていくか、ということが大切になってくるのですね。

まとめ

さて、ここまで中小企業診断士試験の難しさについて書いてきました。

夢があるのかないのか、ですが試験勉強というものはなかなか夢がないものです・・・。

ちなみに、他資格(弁護士、税理士、司法書士)ホルダーの先生方でも、「診断士では心が折れた」という方も数人いらっしゃりました。既にメインになる資格を持っている、というところから、メイン資格ほど真剣に取り組んだわけではない、ということもあるとは思いますが、頭が良い人や一定以上の努力ができるような方々でも、本気でやらなければ苦労する試験であるということは押さえておいた方が良いでしょう。

 一方で、現役の診断士の方をみると、本当に出自は多種多様です。中小企業診断士試験が文字通り「人生最大の勉強だった」と語る方も多く、「本気で取り組んだ」方も多くいらっしゃります。

 5年以上と長期で取り組んだ方もいらっしゃりますが、本気で取り組めば学歴関係なく狙える資格でもあるわけです。

 一定の難しさがあるため本気度は求められますが、本気でチャレンジすればどんな人でも取得を狙える・・・そんな資格が中小企業診断士です。

 ぜひ、あきらめずチャレンジし続けてください!

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