「資格を取りたいけど中小企業診断士って使える資格なのかな?」「資格に無駄に時間はかけたくないけど、中小企業診断士が気になる・・・」
中小企業診断士は「独占業務がない」資格であり、保証がない資格です。それでも取得してみたい、何か気になる・・・という方も多いのではないでしょうか?
実は私自身も、ずっと気になっていた資格ながら実利性の高い資格の方が良いのでは・・・と回り道をした果てにこの資格に辿り着きました。
そんな私から、今回は中小企業診断士がどんな資格なのか、キャリアの役に立つのか、お伝えしたいと思います
投稿主について
大学を卒業後、東証プライム上場企業で会計ソフトのルートセールスに従事。その後転職し、現在は地方の中小企業支援機関で創業支援や補助金申請支援、その他本部業務に従事。中小企業診断士、行政書士、情報処理安全確保支援士などを保有。30代前半の男性です。
経営に関する広範な知識の獲得
中小企業診断士の1番のメリットは経営に関する広範な知識の獲得です。
試験科目が
・経済学・経済政策
・財務・会計
・企業経営理論
・運営管理
・経営法務
・経営情報システム
・中小企業経営・政策
と7科目もあり、平均して60%以上の得点を求められることから、広く経営に関する知識を求められます。
また二次試験はコンサルティングの紙上演習のような記述試験となっており、文字数の制限も厳しい試験です。短時間で的確に企業経営上の要点を洗い出し、文章で表現することが求められます。
経営に関する知識とその知識の運用能力を求められる試験であることから、試験後にも経営の視点でものごとを見ることができるようになる、まさに「鍛えられる試験」ではないか、と私は考えています。
このため、この資格については多彩な役割が期待されていますので自分のキャリアの広がりが期待できますし、仮にこの資格を仕事で使わずとも、それまでのサラリーマン生活よりも一歩ランクが上のものの見方を手にいれることを期待できるでしょう。特に、20代から30代といった年齢層で、社内のリーダー層や管理職の役割を期待される年齢層では一歩抜きん出たものの見方を手にいれられることが期待できると思います。
企業からの好印象を獲得
・・・というには、難しいところもありますが、高い評価をする企業があるのは事実です。たとえば社内の診断士会を有するアサヒビール、NECでは、診断士資格を通じた社内コミュニティが形成されており、なんと社内診断士会で書籍の執筆などもされています。
この他にも社内診断士さんが執筆した記事などを見ると、大企業においては子会社や取引先の指導といった場面において有資格者が活用されるということもあるようで活躍の場がうかがえるところです。
また、貴方が金融機関に興味があったり、務められているのであれば特に有効でしょう。多くの金融機関において中小企業診断士は資格手当の対象となっていたり、通信教育費用の助成対象となっているなど、資格の取得段階での支援も手厚く、取得後も手厚く処遇される傾向にあります。特に地方出身者にとっては地元の銀行や信用保証協会など取得すると重宝してもらえる機会に富んでいます。
私自身も、現在勤める会社において取得時に特別昇給を得ることができました。
もっとも、ドメスティックな資格を重要視しない外資系企業をはじめとして、そもそも「中小企業診断士って何?」という会社も多いのは事実です。中小企業診断協会の調査ではポジティブな評価も多いことが分かりますが、「勤務先、関係先の処遇に変化はなかった」と評価する声も40%以上あります。
一般社団法人 中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査」(令和3年5月版)より
引用:https://www.j-smeca.jp/attach/enquete/kekka_r3.pdf
100%ではないですが、評価されうる資格である、ということはお伝えしておきたいと思います。
独立・副業
近年、中小企業診断士活用の動きは拡大してきています。
そもそも合格者がここ数年増加傾向にあり、国の経済財政諮問会議においては、サントリー・ホールディングス社長の新浪剛史氏により、ビジネスリーダー人材確保として中小企業診断士制度の活用が促されてきています。
また、各種公的支援機関では専門家派遣事業を通じて、外部専門家を活用した企業への本業支援などが求められるようになってきているなど、中小企業診断士に期待される活躍の場は現在拡大中といえるでしょう。
中小機構「ハンズオン支援(専門家派遣)」より
東京都信用保証協会「専門家派遣のご案内」より
上記のほか、様々な機関において、専門家派遣は実施されており、様々な機関において、様々なチャレンジが期待できるところです。
また、公的支援機関の立場から見ると、中小企業診断士をはじめとした有資格者には報酬が出しやすい、という側面があることを忘れてはなりません。
多くの補助金の交付要綱や各種機関の講師謝金規定では資格のランクごとにどの程度の報酬を支出しうるか記載されています。
(事業再構築補助金(第12回) 公募要領34ページより引用https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf)
実はこう見ると、中小企業診断士は公的な位置付けとして大学准教授級の取り扱いをしてもらえるのですね。20代〜30代のサラリーマンでもこのクラスの立ち位置の取り扱いをしてもらえる、というのはなかなかの評価ではないでしょうか。
逆に言えば、地域経済の振興などに実績のある方や本を出されたりと多面的に活動をされている方であっても、この区分にある有資格者等でなければここの基準の位置付けをどうするか、内部的にどう決裁をとるか、発注者側としてはなかなか悩むこともあるわけです。
むろん、診断士としても「この報酬では安い」というのもあるのですが、しかし発注者側に活用してもらいやすい、というのは一つのメリットです。自律的に生きていく収入源の一つとして、そう簡単には無くならない公的支援の枠に入れるパスポートを得ることは自律的に生きていくうえでも大きなメリットと言えるでしょう。
しかし、こんなに評価していただけるものなんですよね・・・。私自身、はじめてこの表を見た時、「えっ!そうなの」と自分の努力がそれだけの評価を得られるものと分かりすごく嬉しかったことを覚えています。
まとめ
以上、中小企業診断士資格が役に立つのかについてお伝えしました。
経営に関する知識を国の証明という裏付けのある形でゲットし
社内の評判や給与を高め
そして独立・副業に活かしていく
こういったさまざまなロードマップが描ける魅力的な資格が中小企業診断士です!