LM Studioが商用利用開放!ローカル生成AI活用への道が一歩開ける?

なんの気なしにGoogleの新着ニュースを見ていたところ驚くべきニュースが。

ローカルLLM実行環境LM Studio、企業・組織での商用利用を無料に | gihyo.jp
Element Labsは2025年7月8日、同社が提供しているローカルLLM実行環境「LM Studio」を企業利用においても無料で使えるように方針を変更したことを発表した。

「お、これはおいしい」

ということでブログにしてみます。

そもそもローカル生成AIって何よ?

 ローカル生成AIとは、クラウドサーバーを介さず、自社のPCや社内サーバーといった閉じられた環境(ローカル)で動作するAI技術です。

 ChatGPTやGeminiなどはOpenAIやGoogleのサーバーからサービスが提供されているものであり、基本的には米国のサーバーから提供されているものになります。

 高速ですし、AIの性能もさすが、大量の計算資源を使っているだけあって高いものですが、いかんせん、「外国のサーバーにデータを送る」点が企業内で利用するうえではいろいろと課題になる面は否めません。

 そこで、生成AI利用のガイドラインを定めるにあたっては概ね「個人情報の入力禁止」「機密情報の入力禁止」が掲げられることになります。ChatGPT TeamPlanなど、学習設定がオフになっているツールであれば、機密情報の入力については、概ね問題ないとするケースもありますが、保守的に取り扱う企業では、ルールとしては機密も「入力禁止」とするケースが多いのかな?と考えています。

 しかし、効率化したい仕事の多くには「機密情報」が絡むものです。場合によっては「個人情報」も絡ませて分析したい場面だって多くあるでしょう。そんな時に役立つのが「ローカル生成AI」です。

 企業でこの技術が必要とされる最大の理由は、その高いセキュリティにあります。企業内の端末で処理が完結するローカル生成AIであれば、顧客情報や製品の設計データといった機密情報を外部に一切送信することなくAI処理ができるため、情報漏洩のリスクを根本から遮断できます。

 また、自社の専門的なデータを安全に学習させ、業務に特化した独自の高精度AIを構築できる点も大きな利点です。セキュリティを最優先しながらAIの恩恵を最大限に活用したい企業にとって、ローカル生成AIは不可欠な選択肢となっています。

「社内の機密情報を使うため、ChatGPTのようなクラウドAIは利用できない…」 「AIを試したいけれど、APIコストが心配…」

このような悩みを抱える多くの企業にとって、まさに鬼に金棒、なわけですね。

 そんな、ローカル生成AIですが、これを使うためのツールとしては大きく二つ、OllamaとLMStudioが知られています。特にLMStudioはわかりやすい操作画面があることから、エンジニア以外のライトなユーザー層にも人気を博していましたが、2025年7月8日、この「LM Studio」が、商用ライセンスを撤廃し、企業や組織での利用を完全に無料化することを発表しました

 これにより、セキュリティやコストの壁に阻まれていた企業内でのAI活用が、一気に加速する可能性があります。この記事では、今回の変更点の詳細、企業が享受できるメリット、そして導入前に必ず確認すべき注意点まで、詳しく解説します。


何が変わったのか?LM Studioのライセンス変更点

今回の発表で、LM Studioの利用条件はシンプルかつ強力なものになりました。

変更前 (~2025年7月7日)変更後 (2025年7月8日~)
個人利用✅ 完全無料✅ 完全無料 (変更なし)
企業・商用利用❌ 別途ライセンス契約が必要完全無料
導入手続き会社での利用には問い合わせ・申請が必須申請不要で利用可能

 これまでは、企業がLM Studioを業務で使うには、開発元であるElement Labs社への連絡と商用ライセンスの取得が必須だったようです。この手続きが導入のハードルとなり、利用をためらうケースも少なくありませんでした。

今回の規約変更により、このハードルが完全に取り払われ、誰でも自由にダウンロードし、すぐに業務で活用できるようになったのです。


なぜ今、無料化に踏み切ったのか?

LM Studioがこの大きな方針転換に踏み切った背景には、主に2つの理由があります。

  1. 導入の障壁(フリクション)の解消 リリースから約2年で数百万ダウンロードを達成し、多くのユーザーに支持されてきたLM Studio。しかし、開発元は「企業が利用を検討する際、正式な調達プロセスを開始するほどではないが、規約違反もしたくない、というジレンマが利用拡大の障壁になっている」と分析。この状況は、LM Studioが目指す「ローカルAIを誰もが使えるようにする」というミッションに反するもの、と評価されたようです。
  2. ローカルAIの普及というミッションの再確認 実験的で初期段階のAI活用は、職場で行われることが多々あります。今回の無料化は、家庭だけでなく職場も含めた「あらゆる場所でローカルAIをアクセスしやすく、便利で、どこにでもあるものにする」というLM Studioのミッションを、より強く推進するための決断と言えるでしょう。

 ということで、まさに我々のようにプライベートでワクワクしながらローカル生成AIを使っていた民が職場にもLMStudio持ち込んでね!というような話です。いやあうれしいところ。

Just a moment...

※EVO-X2

 ちなみにローカル生成AIで大規模モデルを動かしたいがためだけにPCを買ってしまいました。メモリ96GB分をGPU扱いとして使えるRyzen AI Max +395とRadeon8060Sの組み合わせで後悔はしていない…のですが、AMDが画像生成に弱い、というのをすっかり忘れていて若干やらかした感を覚えています。


【最重要】商用利用する上での注意点:モデルのライセンスは別!

LM Studioが無料になったからといって、何の制限もなく自由に商用利用できるわけではない点には、最大限の注意が必要です。

重要なのは、「LM Studioという『ツール』のライセンス」と、「LM Studioで動かす『AIモデル』のライセンス」は別物だということです。

  • LM Studio本体: 商用利用可能になりました。
  • AIモデル: モデルごとにライセンスが異なり、商用利用が許可されていないものもあります。

例えば、

  • 商用利用可能なモデルの例: Meta社の「Llama」シリーズ、Google社の「Gemma」シリーズなど。
  • 商用利用に制限があるモデルの例: 研究目的でのみ利用が許可されているモデルや、特定のクリエイティブ・コモンズライセンスが付与されたモデルなど。

企業で利用する際は、必ず使用したいAIモデルのライセンス規約を個別に確認しましょう。

中小企業であれば、LlamaやGemmaである程度満足できるレベルは出るかと思われます。個人的に、補助金申請書の添削AIをDifyで組んで、仮想の補助金データをGemma3 4Bで添削させたりとしていますが、それなりの精度は出ています(若干日本語が破綻するのであくまで下書きでしかありませんが。)。


企業のメリット・デメリット

LM Studioの導入には、大きなメリットがある一方で、考慮すべき課題も存在します。

🎯 メリット

  • コスト削減: API利用料がかからず、無料で高性能なAIを試せます。
  • セキュリティ強化: データがPCや社内サーバー内で完結するため、機密情報や個人情報を外部に送信する必要がありません。
  • オフライン利用: インターネット接続がない環境でもAIを利用できます。
  • 高いカスタマイズ性: 自社でファインチューニングした独自モデルなども実行できます。

⚠️ デメリット・課題

  • ハードウェア要件: 高性能なGPUを搭載したPCが必要となり、初期投資がかかる場合があります。
  • パフォーマンス: モデルによっては、最新のクラウドAIサービスほどの性能が出ないこともあります。
  • 運用・管理の負荷: モデルの選定、アップデート、トラブルシューティングは自社で行う必要があります。

 ということで、GPU搭載のPCがですね・・・。私の所属機関はなかなかお金がないのでメモリ32GB、GPUオンボードのPCに突っ込んでみています。Gemma3の4Bはギリギリ、1Bならまぁまぁ動くのでは、というところです。


本格導入を支える有料プランと新機能

LM Studioは無料版だけでなく、企業のさらなるニーズに応えるためのプランも用意しています。

  • LM Studio Hub: アプリ内で作成したものを共有できる機能。
  • Teamsプラン (今月提供開始予定): チーム内で設定などをプライベートに共有できる、手軽なセルフサービスプラン。
  • Enterpriseプラン: SSO(シングルサインオン)によるアクセス管理、利用モデルの制限(ゲーティング)、プライベートな共同作業など、大企業向けの高度な機能を提供します。

原文をみただけではあまりイメージはつかないものも多いですが、どんな感じなんでしょうね?

とはいえ、単純なチャット機能や、ローカル生成AIのWEBサーバーとして働く機能だけでも非常にありがたいので、無料版でも企業で使えるようになっただけありがたいお話ですね。


まとめ:

 LM Studioの商用無料化は、企業のAI活用における「セキュリティ」と「コスト」という2大障壁を大きく引き下げる、そして何よりもユーザビリティの高いLMStudioが使えるようになったというのはけっこう嬉しい話です。

 ただ、正直同時利用すると、特にCPU環境下では十分に処理をさばけない気がするので、うちなんかは限定した環境で使ってみるのが限界ですかね。ただ、ぜひ、これを前提にしたものは組んでみたいところですね!

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